はじめに

塾としましては、塾生たちに「何を勉強させるか」ということについてはそれなりの自信を持っています。しかし、「どう勉強させるか」ということについては山ほどの課題があると感じております。そして、学力向上に大切なのは圧倒的に後者であると確信しています。 「どう勉強させるか」について、塾では以下に挙げたことを塾生に伝えています。ご家庭でも矛盾しないサポートがあれば幸いです。

1. 学習者の心構え

合格するために頭(IQ)がいいかどうかはさほど重要ではありません。学習者の心構えが大切です。たとえ成績が悪くても、学習に対するする意欲と責任感があればそれは無視できます。 ある意味塾の仕事は、塾生の性格形成にあると考えています。英語力をつけることは当塾が第一にすることではありますが、学力向上を考えた時は塾生の成長に伴う心の成長が大切です。主体的に進路を考え主体的に学習していく、自分の学習に責任感を持つ、そのような学習者心理をはぐくんでいけるよう毎回の授業で心がけています。

2. スマホ・タブレットの類

勉強に一番邪魔です。スマホを勉強部屋と寝室に入れないことが大切です。スマホは使っていなくても、そばにあるだけで学習者の集中力を奪うということが研究でわかっています。どの学年も使用時間が1日1時間を超えると学力に影響します。また高3生は、受験の時は外出時にスマホを持ち出さないことも大切かと思います。

3. 睡眠時間

毎日の就寝時間と起床時間を固定し、7時間以上の睡眠時間を確保しておくと良いと思います。6時間睡眠を2週間続けると思考力が落ちるという研究結果があります。いずれにせよ睡眠不足は思考力を奪います。いかなる理由であれ睡眠時間を減らすという行為は褒められるものではありません。

4. 体調管理

体調管理も受験のうちです。規則正しい生活をしたうえで睡眠と食事に気をつけて、体調を崩さないよう気をつけることが大切です。体調不良で勉強をしないのと、さぼって勉強をしないのとでは、勉強時間がゼロという意味では違いはありません。

5. 学習環境

学習者が好む環境であれば、どのような環境でもよいと思います。自分の部屋でリビングであれ、学校の自習室であれ図書館であれ、どこでもよいでしょう。低学年のうちはリビングで勉強させる方が良いかもしれません。なお、勉強中にコーヒーを飲んだり音楽を聴いたりしても、特に問題はないと思います。ただし、スマホの類は学習環境から極力遠ざけるのが大切です(電源をつけるまで1分以上かかる環境にしておくと、良いでしょう)。

6. 運動

1日1時間程度の運動は学力向上に効果的、という研究が出ています。過度の運動はいらないにしても、適度な運動は必要かと思います。

7. 姿勢

ひどい姿勢で授業を受ける塾生がいますが、それではやる気も集中力も生まれません。学習する上で姿勢は重要です。姿勢の悪い塾生はその場で改善するよう指導しています。

8.

採点者に答案を見ていただき合否を委ねる以上、雑な字を書いて良い訳がありません。試験会場は特別のことをする場ではなく、普段やっていることをそのまま出す場です。試験会場での答案作成と同じ字を教室で書くよう、塾生に指導しています。

9. 授業の欠席と遅刻について

塾の欠席・遅刻は、よほどのことがない限り避けていただきたいです。当たり前ですが遅刻・欠席を繰り返す塾生は指導にならないです。欠席・遅刻を軽々しくできてしまう塾生はその理由如何にかかわらず、結局は学習に対する心構えの問題に帰結すると考えています。入塾した以上、塾生は塾の勉強にコミットしなければならないですし、塾はそれに応えるべく全力を尽くすのが双方にとって当たり前のことです。

おすすめ図書

以下の本は、非常に教育的意義の深い本であると思います。
せひ読んでいただきたいと思う1冊です。

「学力」の経済学

子どもたちの学習の心構えに関して、考えがまとまる本だと思います。科学根拠に基づいた議論をしているので、結論に説得力がありました。結局のところ学力というのは、誰も見ていない一人で過ごす時間帯に子どもたちが何をするかで決まると思いますが、一人であってもきちんと勉強する、テレビ・スマホの誘惑に負けず自制心を発揮して勉強を続ける、難しい問題にあたっても辛抱強く頑張ろうとする、こういう心がまえが大切なのだと気づかされました。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

この本は、塾生にも盛んに紹介していますが、およそ全ての人間関係にあてはまる内容ですので、保護者の方にもおすすめです。学生としても、教師としても、親としても、子としても、会社の上司としても、部下としても、あるいは恋人同士においても、どんな立場にある人にとっても有効だと思います。この本の言う「課題の分離」「横の関係」「勇気づけ」「見かけの因果律」「劣等コンプレックス」などは、当塾の教育において常に念頭に置くべき言葉となりました。本書中、「人が課題を前に踏みとどまっているのは、その人に能力がないからではない。
能力の有無ではなく、純粋に課題に立ち向かう勇気がくじかれていることが問題
なのだ」(P202より引用)の部分は、全くもって同感です。もっと早く読みたかった、と心底思う内容でした。